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QCサークル|未然防止型QCストーリーのQ&A|問題解決型QCストーリーや課題達成型QCストーリーと同じように,適用の場面や適用の仕方は一通りではありません。この2つに比べると未然防止型は使い慣れないかも知れませんが、Q&A等を参考にしてみてください。
未然防止型QCストーリーについてのQ&A
Q.顧客から委託を受けて様々な事務や経理の業務を行っています。人のミスに起因するクレームや苦情が'多いので,
未然防止型QCストーリーを活用しようと思っているのですが,いろいろな業務が'あるので,どこから手をつけてよいの
か悩んでいます。
A.あまり範囲を広げすぎると,途中で挫折することになります。業務を絞って取り組み,成果を実感し,広げていく
のがよいと思います。まずは業務をぃくつかの種類に分けてください。その上で,それぞれの業務の量とそこでミス
によるトラブルが発生するリスクの大きさを評価し,量が多く,リスクの大きい業務を選ぶとよいでしよう。リスク
の大きさを見積もる際には,過去に発生したトラブルの件数を参考にするのもよいと思います。
Q.車体組立用の治具を設計しているサ_クルです。未然防止型QCストーリーを使って故障によるトラブルを低減した
いのですが,どこまでの故障を洗い出せばよいのでしよう
か?
A.なるべく多くあげ.リスクの大きさをRPNなどで評価するのが基本です。ただ,思いつきに頼っていたのでは限度
があります。過去のトラブルの原因となった故障を収集、整理し,故障モードー覧表を作り,これをキーワードにで
きるだけ多くの起こりそうな故障をあげてください。過去に起こった故障だけをあけるなどはもってのほかです。こ
こで手を抜くと,後で「想定外でした」という言い訳をしなければならないことになります。
Q.産業ロボットの組立作業を行っています。人のエラーによる組付不良を未然防止したいのですが,考えられるエラ
ーに対してどこまで対策をすればよいでしょうか?
A.リスクの高いほうからいくつかとか,できるだけといった考え方は禁物です。RPNなどを用いて点数づけを行い,
自分たちが決めた一定レベルを超えるエラーにはすべて対策を行います。この際,点数づけの基準を明確にしておく
ことが大切です。有効な対策がない場合もありますが,これは今後検討が必要な要注意エラーとして明確にしておき
ます。反対に,決めたレベル以下のエラーは容認します。どんな小さなリスクも認めないような職場では,まだ起こ
っていないけれど,起こりそうなことについて議論することが難しくなります。
Q.病院の検査室です。患者さんの取り違えによる事故を防止するために,未然防止型のQCストーリーで活動を開始し
たいのですが,なかなか上司の理解が'得られません。
A.取り違えによる事故は実際には起こっていないけれど起こる可能性が高ぐ起こると大問題となることをデータで示
すことが一番です。ヒヤリハットレポートなどを整理し,患者の取り違えやその一歩手前のことが現実に起こってい
ること,しかも繰り返し起こっていることをグラフや表で示すとよいと思います。言葉で一生懸命伝えようとしても
伝わらないことが,グラフや表で表現すると一目瞭然となります。事故が発生した場合の重大さについては,他院の
事故の新聞記事などを活用して訴えるとよいと思います。メンバーの熱意ももちろん大切です。
Q.数社のメーカーに共通のパンパーを生産しています。時々発生する機械故障によるライン停止を低減させたいのですが,問題解決型,未然防止型,課題達成型のどれが適していますか?
A.フローチャートに従って判定するとよいでしょう。従来からやってきた設備で過去に経験のない故障や過去に経験した故障だが,要因や対策の検討がつかない場合には,問題解決型を使います。これに対して過去に経験のある故障が様々なところで繰り返し起こっている場合や起こりそうな場合で,しかも要因や対策が見えている場合には,「未然防止型」を使います。また,従来
にないまったく新しい設備や機構,そのための技術を開発することが必要な場合には,「課題達成型」を使います。
Q.未然防止型QCストーリーを社内大会で発表することになりました。どんな点に注意すれぱよいでしようか?
A.起きた問題を対策するのは当然ですが,起こる前に対策をしたほうがよいと思いながら日常の仕事に流されているのが普通です。なぜ未然防止に取り組もうということになったのかを,ぜひ説明してください。また,FMEA表などのリスクを洗い出した資料は量が多くなりますので,すべてを発表しようとするとわかりづらくなります。発表の際にはエラーモードー覧表.故障モードー覧表やリスクの点数づけの考え方を示したうえで,一部を例で示すとよいと思います。また,対策については,行った対策のリストや数を示したうえで,対策の中でもっとも工夫した点,苦労した点に絞り込んで説明したいところです。
社内発表などでは,聴講者になじみがないストーリーかもしれませんが,「未然防止型QCストーリー」ということを前面に出し,楽しく伝える発表を心がけてください。