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未然防止型QCストーリーのポイントを紹介|品質トラブルや事故の原因は,人に起因するもの,設備に起因するもの,外部環境に起因するものなど様々。未然防止型QCストーリーは,このようなトラブル・事故を防ぐための改善のステップをまとめたものです。

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未然防止型QCストーリーのポイントを紹介|品質トラブルや事故の原因は,人に起因するもの,設備に起因するもの,外部環境に起因するものなど様々。未然防止型QCストーリーは,このようなトラブル・事故を防ぐための改善のステップをまとめたものです。

未然防止型QCストーリーのポイント


未然防止型QCストーリーのポイント

未然防止型QCストーリーとは


品質トラブルや事故の原因は,人に起因するもの,設備に起因するもの,外部の環境に起因するものなど様々です。でも,そのトラブル・事故を「防ぐ技術(ノウハウ)があったのか」という点から見ると,技術がそもそもなかった(不足していた)ために起こったものと,技術はあったにもかかわらずうまく活用していなかったために起こったものの2つに分けられます。後者のトラブル・事故は,うまくやれば事前に対策が打てたはずであり,これが起こると「うまくやっておけば」と後悔することになります。未然防止型QCストーリーは,このようなトラブル・事故を防ぐための改善のステップをまとめたものです。


未然防止型QCストーリーのステップとポイント

以下の例①は未然防止型QCストーリーのステップとポイントをまとめたものです。特徴は,ステップ4の「改善の機会の発見」(対策が必要なものの洗い出し)と5の「対策の共有と水平展開」(対策案の作成と実施)です。

例①
ステップ ポイント
1.テーマの選定 ・顧客(後工程)のニーズや職場の方針を理解する。顧客(後工程)の話をよく聞く。職場が'提供している製品.サービス,あるいは行っている業務をリストアップしたうえで,量と卜ラブル・事故の起こりやすさを点数づけし,取り組むものを選ぶ。
2.現状の把握と目標の設定 ・選んだ製品・サービス/業務に関するトラブル・事故の情報を集め,「防ぐ技術があったのか」という点から分類し,あったものとなかったもののどちらが多いかを把握する。

・防ぐ技術はあったにもかかわらずうまく活用していなかったために起こったトラブル・事故が多い場合には,人,設備,環境など,何に起因するものが多いか,人に起因するものが多い場合には知識・スキル不足,意図的な不遵守,意図しないミスのどれが多いかを把握する。

・把握した結果に基づいて目標を設定する。何を,いつまでに,どこまで改善するか,どのような体制で進めるのかを明確にする。
3.活動計画の策定 ・目標を達成するまでの大まかな活動の進め方(1.テーマの設定・8.反省と今後の課題)を,日程や担当とともに示す。
4.改善機会の発見 ・過去のトラプル・事故の原因となった失敗(人の不適切な行動や股備の故陣など)を整理し,失敗モード一覧表を作成する。

・テーマとして迸んだ製品・サービス/業務に閲する作業手・または設備を.業務フロー図/機能ブロック図を使って窗き出し,検・のしやすい大きさ(要索)に分解する。

・FMEA(失敗モード影響分析)を活用し.それぞれの要索に失敗モードー・表を適用し.起こりそうな失敗を洗い出す。

・それぞれの失敗についてRPN(危険「先指数)を求め,対策の必要な失敗を明確にする。
5.対策の共有と水平展開 ・過去に成功した失敗防止対策(エラープルーフ対策や故障対策など)を整理し,対策発想チェックリストやあ「策串例集にまとめる。

・対策の必要な失敗に対して対策発想チェックリストや対策事例集を適用し,対策案をできるだけ多く作成する。

・対策分析表を活用し,対策案を有効そうなものとそうでないものを振り分ける。

・有効そうな対策案を組み合わせて最終的な案にまとめ,実施する。
6.効果の確認 ・対策を実施した後に,適切なデータを収集・分析し,その効果を確認する。
7.標準化と管理の定着 ・他の人たちが学べるように活動のプロセスを文書化し,発表する。

・活動を通して得られた知見を,職場で使用している作業標準書/技術標準書.対策発想チェックリスト,対策事例集,失敗モードー覧表,FMEAなどに反映する。

・対策が'不十分なものは,継続的な監視・検討が'必要なものとする。
8.反省と今後の課題  ・活動を振り返り,今後の活動へ活かす。
・活動を通したメンバーの能力向上*成長を評価する。

次章に続きます。

 

未然防止型QCストーリーのステップとポイント


 前章からの続きです。

ステップ1では,問題・課題を選ぶのではなく,製品・サービスまたは業務を選びます。これは,特定の問題・課題を解決するのでなぐ選んだ製品・サービス/業務で起こりえる様々な失敗(人の不適切な行動や設備の故障など)を未然に防ぐことがねらいだからです。

ステップ2では,対象とする失敗の種類を絞り込みます。異なった種類の失敗を同時に取り上げてもよいのですが,人の行動なら作業手順に着目するのがよく.故障なら設備に着目するのがよいので.どれが多いのかを調ベて絞り込んでおくことが効果的です。

ステップ4では,作業手順や設備を細かく見ていき,起こりそうな失敗を洗い出します。人の行動の場合は業務フロー図などを用いて作業手順を書き出し,設備の故障の場合は機能ブロック図を用いて設備の構成要素とその相互関係を書き出します。その上で,過去のトラブル.事故をまとめた失敗モードー覧表を用いて起こりそうなものをすべて列挙し,それぞれの発生の可能性や影響の致命度を点数づけし,対策すべきものを決めます。この際,対象の作業手順や設備を検討しやすい大きさ(要素)に分解しておくこと,起こりそうな失敗をできるだけ多くあげることなどが大切です。

ステップ5では,対策が必要と判断した失敗一つひとつについて,多くの対策案を考えたうえで,効果やコストなどを評価し,実施する対策を決めます。この際,過去に実施して効果のあった対策をうまく活用することが大切で,自職場だけでなぐ他職場の対策や他社の対策なども積極的に参考にしてください。
ただし,そのまま適用すればよいケースは少ないので,対策に含まれている考え方やアイデアを活用するつもりで行うとよいと思います。

ステップ6では,目標としたトラブル・事故が実際に少なくなったかどうかを確認します。ただし,発生頻度が少ないトラブル・事故の場合,効果を把握できるまでに時間がかかることも少なくありません。このような場合には,ステップ4を再度行って点数づけをやり直し,どれだけリスクの大きさが下がったかをヒストグラムや円グラフで確認するとよいでしょう。


未然防止型QCストーリーのための手法

未然防止型QCストーリーをうまく活用するためには,それぞれのステップで適切な手法を活用することも大切です。例②(次章に記載)は,例①に示されている七つの手法の概要をまとめたものです。

ぜひ勉強してみてください。一度使ってみると,どう役立つのかがよくわかります。
 

未然防止型QCストーリのための七つの手法


例② 未然防止型QCストーリのための七つの手法
 
手法 概要
失敗モード一覧 過去に発生した多数のトラブル・事故を集めて横断的に眺め,それらに共通するものを「失敗の型」として整理したもの。エラーモードー覧表,故障モードー覧表などがある。
業務フロー図/機能ブロック図 業務を構成する「活動」の関係をインプット/アウトプットのつながりに着目して書き表したもの。設備などを構成する「物」の関係を機能(働き)に着目して書き表したもの。
FMEA(失敗モード影響分析)Failu「eModeandEffectsAnalysis 対象を要素に分解したうえで,各要素に失敗モードー覧表を当てはめて起こりそうな失敗を洗い出し,失敗ごとにリスクの大きさを見積もって対策すべき失敗を明確にする手法。
RPN(危険優先指数)RiskPriorityNumber リスクの大きさを見積もるために,発生度,致命度,検出度(事前に検出できない度合い)をそれぞれ3~10段階で点数づけし,その積を求めたもの。
対策発想チェックリスト 過去に実施し,有効だった対策の事例を集めて整理し,対策案を作成する場合にアイデアを発想するためのきっかけを与える項目または質問のリストにまとめたもの。
対策事例集 対策について,対象となる作業/設備や失敗,対策の着眼点,改善前・改善後,効果・費用などを1件1葉でまとめ,容易に検索できるようにしたもの。
対策分析表 対策案の内容と評価項目(有効性,コスト,継続容易性など)を明確にしたうえで,複数の対策案を多元的に評価し,その結果に基づいてどの対策案を選ぶかを決めるための表。



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