品質管理の基本|初心者に分かりやすいサイト > IE手法 ライン作業分析について解説⑥
IE手法 ライン作業分析|工程管理も品質管理の一環です、ということでIE(Industrial Engineering)の作業分析について、数ページにわたって詳しく解説しています。その第6ページ目です。
作業配分変更
作業配分変更をする時の注意点を説明していきます。
・作業を配分しなおした時に、目標サイクルタイムを越えない
・完成方向を無視した順序の組み換えはできない
A部品を取付してからしかB部品は付けられないのに、A部品を取り付けるより
前に、B部品を取り付ける作業を持ってきてしまうとか
・要素作業より細かくは、組み替え出来ない。
・机上ではできても、実際の職場環境ではできない事もある。(スペースや設備など)
以上の点に注意しながら、作業配分の見直しを行う。
生産増対応の改善ではない場合、同一生産量で作業配分の見直しをする場合は、省人化が
できるような編成を実施する。工程数を減らす再編成を実施する様にして下さい。
作業配分見直し前と見直し後のオペレーションリストです。
B工程の一部をA工程に
B工程にCとD工程の一部を
D工程の一部に、E工程を持ってきて、新たにC工程として
5工程から3工程に作業配分の見直しをしました。
改善前と同じ必要生産量を得られて、かつ2人の省人がはかれたという
ことです。2人分の給料がなくなる訳ですから、こちらの方が大きな
改善が行われたと事がわかると思います。
編成効率とバランスロスも算出してみました。
改善前 78.5% → 94.2% 15.7%up
バランスロス 21.5% → 5.8% 15.7%削減
2人省人化が一番大きい。
ここまでできて、改善後の再評価が終わった事になります。
講義ですので、簡単に改善が出来たという形で進めていますが、
実際は、こうも上手くいくとは限りません。
ひょっとしたら、個別の作業改善だけでは、作業配分の見直しが
できないかもしれません。
括弧書きしてますが、どうしてもサイクルタイムを越えてしまう
等が起こるかもしれません。
そうした時の次の手として、もう一つ方法を説明したいと思います。
目標サイクルタイムの引き上げ
算出式を思い出してもらうと分かると思いますが、
正味稼動時間を確保すべき必要生産量で割ってサイクルタイムを算出したので、
ラインの不稼動時間を削減して、分子を大きくし、サイクルタイムの値を大きくするか
不良を低減し、良品率を上げて、分母を小さくし、サイクルタイムの値を大きくすると
いった方法があります。
こうすることで、作業の.組か換えがし易くなります。
それぞれの算出例は、
Aは、0.5Hrあった不稼動時間を0にした場合のサイクルタイム
Bは、不良を無くし、良品率100%にした場合のサイクルタイム
Cは、その両方を行った時の場合のサイクルタイムです。
13秒もサイクルサイムが引き上がった事により、組み換えがしやすく
なりました。
この講義では、まず個別作業改善をして、作業配分変更を行い、組か換えが出来なかったら、
目標サイクルタイムの引き上げを行って、改善を行う様に説明をしましたが、
書籍や資料によっては、順序が逆になっているものがあります。
この講義では、目標サイクルタイムの引き上げを実施するには、設備自体に手を加えたり、
時間やコストが掛かるという視点から、すぐに検討者実施ができる作業配分変更を先に
行う様に説明をしています。
先に目標サイクルタイムの引き上げをしておいてから、組み換え易くなたっところで、
作業配分する考え方もありますが、了承下さい。
ここでも書いていますが、
改善後には必ず同じ手法を使って再評価する事を忘れずに実施して下さい。
以上でライン作業分析の講座は終了となります。
ありがとうございました。