品質管理の基本|初心者に分かりやすいサイト > IE手法 ライン作業分析について解説③
IE手法 ライン作業分析|工程管理も品質管理の一環ですよ、ということで、IE(Industrial Engineering)の作業分析について、数ページにわたって詳しく解説しています。その第3ページ目です。
IE手法|サイクルタイムについて
では、IE手法の解説 第3ページ目です。
ここでは、3つの視点からサイクルタイムについて説明します。
〇ラインを流れる製品の立場から見ると、
1工程から2工程、2工程から3工程へと各工程間を流れるスピードのことです。
〇作業者の立場から見ると、
自工程に与えられた制限時間で、制限時間の間に作業を終え、
次工程へと送らないとラインストップとなり、生産に影響を及ぼすものです。
〇生産管理の立場から見ると、
必要生産量確保のための、物が算出(アウトプット)される時間間隔で、
各工程の繰り返し作業の1サイクルの事でもあります。
サイクルタイムについて、大体理解されたと思いますので、
次章ではサイクルタイムの算出に話を戻して説明をしたいと思います。
IE手法|サイクルタイムの算出
サイクルタイムは、必要生産量とライン稼動時間より算出します。
例えば、1日の生産量が360個、ラインの稼動時間が8.5時間の場合、
8.5時間を360個で割って、85秒となります。
ただし、次のことに注意が必要です。
サイクルタイムの算出時の注意点という事で、2つあります。
1つ目、ライン稼動時間は、正味稼動時間を使って下さい。
設備の立上げやワークの投入に制限があり、稼動出来ない時間がある場合は
不稼動時間として除いて、正味の稼動時間のみにして下さい。
2つ目、確保すべき生産量とは、不良数も見込んだ数であること。
不良率を調べ、確保すべき生産量にその分を見込むようにして下さい。
これら二つを踏まえて、改めて算出してみると、
例えば、生産量が360個、良品率90%(不良率が10%)、
ライン稼動時間8.5時間、設備不稼動時間0.5時間だった場合、
360個÷90%分の8.5時間-0.5時間 = 8時間を
400個で割ることになるので、72秒という結果になりました。
実際に稼動して生産ができる時間と、1日に必要な数を確保できる生産量を使って
サイクルタイムを算出するようにして下さい。
IE手法|ピッチダイヤグラムの作成
サイクルタイムの算出が終わったら、次は、ピッチダイヤグラムの作成になります。
時間研究した結果から作成したオペレーションリストと、正味稼動時間と確保すべき生産量から
算出したサイクルタイムを使って、ピッチダイヤグラムを作成します。
まず始めに、グラフのなかに横線でサイクルタイムを記入します。
つぎに各工程の作業時間値を縦棒で記入してグラフを完成させます。
あとは、サイクルタイムの時間値を書き込んだり、
各工程の時間値を記入したりします。
この場合、工程を1本の縦棒で記入しましたが、オペレーションリストに
従って、縦棒の中を分けて表記しても良いです。
A工程だったら、0.007と0.008の作業で0.0150というように、それぞれの
時間値を積み上げて表記してもかまいません。
続き⇒ IE手法 ライン作業分析について解説④